サガステは私の『ボクオーン』のイメージを裏返していった

サガステ東京公演千秋楽、無事終わりましたね。

f:id:rooton:20181004164441p:plain

私は2.5次元観劇は今回がはじめてだったのですが、本当に本当に素晴らしい体験でした。何日も経過してもまだサガステのことばかり考えてしまいます。これほどまでに一つの経験が自分に影響をおよぼすことがあろうなんて、まったくもって予想外でした。いまはただその余韻に酔いながら好きなことを書いていきたいと思います。

さて、今回書いていきたいのは、サガステのボクオーンについてです。

サガステ2最大級の発明は、ボクオーンの評価を裏返したことだと思います。

私にとって原作ボクオーンは、戦闘力でみたらおそらく七英雄最弱で、クジンシーをのぞくとプレイヤーが最初に撃破することになる雑魚ボスというイメージでした。しかも卑怯でずる賢く、卑屈で浅はか。ロマサガ2を深く愛している私でも、ボクオーンとは、七英雄を好きな順にならべていくと七番目になっちゃうような魅力のうすいポジションという印象だったことを白状します。

ところが。

ところが!

サガステは、そんな私の印象をいい意味で粉々に粉砕してくれたのです。

ボクオーン、めっちゃ好きになれた!!!!!!!!
うれしい!


サガステが私に提示してみせたいくつもの「新解釈」のなかでも、トップクラスに印象深く、目からうろこが落ちる思いで、ますますロマサガを好きになれるきっかけとなったのがボクオーンの描き方です。

もうね、ぜんぜんちがう。
俺の知ってるボクオーン、こんなかっこよくなかった。



からの、



ありがとうございます!!!
ありがとうございます!!!
ありがとう!
ございます!!!!!!!!

こんなにも美しく、はかなく、やさしく、それでいて震えるほどに恐ろしい「悪の天才」として新たな姿をあたえてくださって、本当に本当にごちそうさまでした。

道化師との関係性のエモさ。彼の衣装のカラーリングだけで、原作派としてはまずハッとさせられました。

そして二幕。短命人の末裔たる現代人を地上戦艦で苦役に科していても、わざわざ薬漬けにしてからでないと「あやつれない」優しさが泣けます。冷酷になりきれない頭脳派の悲哀が読み取れました。

ただひとり自ら望んで「命令してほしい」と告げた少年との記憶が皇帝迎撃戦での本気モードへの覚醒をうながすのとか、びりびり痺れましたね。

忘れてはならないのが、キャスティングの奇跡。川田祐さんというその道の「世界チャンピオン」だから実現した戦闘方法。かっこよさはもちろん、そのスキルとしての説得力に感動しました。武器になることに、嘘くささがないのが素晴らしい。

川田祐さんプロフィール
http://www.pro-fit.co.jp/talent_kawada.html

そうか「動くな!」とは、これだったのか!

「マリオネット」とはこういう技だったのか!

それは魔法ではなく、技術。

剣も槍も体術も、現実世界でありうる方法。でも動くな!もマリオネットも、ファンタジーな現象じゃん。って思ってた私に、いやいやちがうよ、ボクオーンの戦いってのは、こういう見せ方をすればきちんと物理的な現象だし、超かっけぇんだぜ!と教えてくれた気がしたのです。

それはつまるところ、七英雄が魔術的な非現実の存在ではなく、あくまでもひとりの人間であることを忘れないでほしいというメッセージなのかなと思いました。

魔法の杖のかわりに「○ー○ー」を武器につかう。この奇想。天才的発明。舞台でたしかに繰り広げられている。超常現象じゃない。魔法じゃない。技術だ。世界最高、それも魔法にしか見えないレベルの、絶技だ。

さらにさらにさらに。

この武器のおかげで、原作のボクオーンが両手を地面にむけている姿と完全一致するんですよね!

f:id:rooton:20181009165715j:plain

いままで見えていなかったものが、クリアに見えてくる。新たなる視点。新たなるかっこよさ。私はサガステに行って、新しいものの見方に出会えました。

サガステは大変面白かったです。大阪公演にゆかれる方は、ぜひボクオーンにもご注目ください。