サガステ感想。これぞリアル・ロックブーケ! あのテンプテーションは回避不能だった、の話

今日はサガステのロックブーケの話をさせてください。

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いきなりですが、サガステのロックブーケロマサガ22.5次元化にあたってもっとも再現が難しかったキャラクターではないでしょうか。ノエルの最愛の妹であり、エイルネップ地方に君臨する女王でもある。男性キャラからは女神のごとく崇拝され、女性キャラからは最悪の敵として憎まれる。おなじ一つのキャラクターなのに、すこし視点をかえるだけで正反対の見え方をしてしまうという多面的な魅力をもっているのがロックブーケです。そのため、プレイヤー一人一人にとってのロックブーケ観みたいなものが千差万別で、しかも七英雄の紅一点という人気アイドル性も重なりあい「俺のなかのロックブーケ」「私にとってのロックブーケ」がバラバラでありながら強固にある。そんな、めんどくさいファンをかかえまくっているに違いない本作最大級の難役ロックブーケでしたが、サガステスタッフは、そして役者・山田菜々さんはこれ以上ないくらいのパーフェクトな「リアルロックブーケ」を創出してくれました。

その素晴らしさを讃えて、全力でサガステロックブーケの魅力を分析していきます。

妹か、魔性の女王か

ロックブーケを形作るにあたり避けては通れない二者択一。

それは、妹としてのキャラを立てるか、魔性の女としてのキャラを立てるか。

サガステスタッフにはこのどちらかにはっきりと舵を取り、純度の高いロックブーケを提示しようという意図があったはずです。もちろんその両立をめざし、男にかたっぱしから媚を売るコケティッシュな妹という描き方も不可能ではなかったはず。しかしサガステはそういうことはしませんでした。

結果、サガステのロックブーケは「妹キャラ」になりました。

小悪魔系のキュートで健気な妹としてロックブーケをキャラ立てする。

サガステスタッフはどうやら「あいだをとる」「バランス型にする」という見せ方は極力採用しないようにしているのではないでしょうか。

AかBか? 選んだら後悔しない

ロマサガ2という原作の枠のなかで分岐点があれば、それをきちんと選択する。なぜなら、それこそがロマサガのもつフリーシナリオシステムの理念につながるから。悪なら悪に。妹なら妹に。AかBか、くっきりと二分する選択肢ならそのどちらかを選ぶことに責任をもち、決して後悔しない。後悔しないために、その選択を鑑賞者から間違いだったと言われなくなるほどのクオリティに高めてみせる。出来で納得させてみせる。それが、サガステの台本、キャラデザイン、そして演出の狙いであるように思えるのです。


 


6:3:1のロックブーケ

「妹」としてキャラを立てていくにあたり、そこからは「どんな妹にするか?」というキャラクターデザイン上の課題が見えてきます。サガステが私たちに見せてくれたロックブーケは、丁寧に計算されたバランス配分の上に成り立っているキャラクターだと思いました。「他の七英雄との関係性におけるバランス配分」とでも言いましょうか。順を追って説明します。

ノエルとの関係性

サガステのロックブーケのふるまいをよくよく観察すると、その行動原理の中心にあるのはいつもノエルへの愛でした。敬愛する兄への憧れ。背中を追いかける挑戦者としての妹。

本当の兄妹でも往々にしてそのような関係性は実在します。とくに10歳以上年齢のはなれた兄妹間で見られますよね。兄と言うよりは父としての役割、保護者としてのまなざしをもってしまっている兄と、それを克服しようと同じ方向性で努力を重ねてしまう妹。そこにあるのは、ある種の近親相姦めいた、お互いを好きすぎる兄妹の姿です。家族愛というには歪んでおり、兄妹愛というよりは師弟関係に近い。「この関係性って尊いけど、少数派すぎね?」みたいなニッチで、でもたしかにエモい、特別なノエルと特別なロックブーケがサガステの舞台上に表現されました。

ワグナスへの恋慕

彼女を形作る構成要素の6割をノエルが占めているとすると、その半分くらいの大きさで「ワグナス様をお慕いする乙女なロックブーケ」もいましたね。

これがね、もう、めっちゃめちゃ可愛い! 可愛い! 可愛い!!!!!

ロックブーケ、可愛い。ワグナスを乙女な視線で見つめるロックブーケは、たまらなく可愛いんです。しかも素晴らしいことに、ワグナスに恋するロックブーケには、なんら嫌味がない。第一にサガステのワグナスは格好いい。あれほど格好いいんだから、好きになっちゃうことになんら疑問がわかない。男から見ても惚れるもん。あんなん、ロックブーケだって好きになっちゃっても不思議がないよね。おかげで、客席からワグナスに惚れちゃってる全観客と舞台の上のロックブーケの気持ちがシンクロするよね。私、男だけどロックブーケの気持ちにすごい共感できました。劇場を一体化するのに、ロックブーケの恋する視線というのは大切な役割を果たしていたと思います。

クジンシーとの向き合い方

で。あれ?6割のノエルと、その半分、3割のワグナス。10割に足りない!というね。じゃあ、あと1割なんだ?「他の七英雄との関係性におけるバランス配分」でいうところの10%って誰なんだ? 

それは、クジンシーです。

私は、今回のサガステ・ロックブーケがどうして魅力的に見えるのかと考えたとき、ふと思い当たりました。クジンシーとの独特の向き合い方が、彼女の存在感にリアルさをプラスしているのではないかと。クジンシーを虫けらのようにあしらう。クジンシーをいないもの扱いする。クジンシーの恋慕にこたえない。クジンシーロックブーケの関係性とはつまり「ストーカーへの生理的嫌悪と心理的な抵抗感」に他ならず、これを彼女を為す一要素として随所で見せていくことで、ロックブーケの「どこにでもいそうな等身大の女の子」感を出すことに成功しているように思えました。

6割のノエルへの愛。3割のワグナスへの恋。1割のクジンシーへの生理的嫌悪。これらが矛盾なく一個のロックブーケを成り立たせている。愛と、恋と、あどけない拒絶。それらが乙女チックな妹を成立させている。ここにいるのは、等身大で、魅力的な新しいキャラクター。だから誰も見たことがないはずなのに、誰からも文句のつけようのない、パーフェクトで最高なロックブーケになっていたのだと、そう感じました。

三次元的テンプテーション

ロックブーケ語りはまだ続きます。

サガステには本当にいくつもいくつも見所かあるのですが、お気にいりのシーンを3つあげろといわれたら迷わず「ロックブーケの戦闘シーン」を推します。あのテンプテーションは本当にすごかった。

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いや、ほんと。あれ、めっちゃ可愛くなかったですか!? 

ピンクの照明と、魅惑のロリ声。

戦闘の動きを維持しながら朗々と歌われる甘くおそろしいミュージカル。

可愛い。ものっすごい可愛い。

キュンキュンしちゃう。

ドキドキして、もうロックブーケのことしか見えない。
(でも魅了されダンサーズは目立ってたw)

ロックブーケに視線が釘付け。萌える。やばい、萌える。

動きがいい。可愛い。動きが可愛い。

声も可愛い。

肩から指先までの身体の動かし方が、まさしくゲーム画面通りの戦闘モーションで再現度すさまじいですし。

可愛いのに、歌の内容は怖い。

男というむしけらを突き放して高いところから見やる、女王様の上から目線。

力と力でしのぎをけずる他の七英雄とちがって、ロックブーケは皇帝に「死」を命じる。

その冷淡な断絶が。拒絶が。

ゾクゾクするほど蠱惑的で、可愛い。

あと、付け加えて言うなら可愛い。
ついでに言うと可愛い。
声を大にして言いたい究極の本質的な主張は…………とにかく可愛い!

なお、原作ゲーム未見派の方のために補足しますが、ゲームでのロックブーケは「テンプテーション」という必殺技を使う強敵ボスです。出会うタイミングによっては、お兄様より強い場合すらあります。

テンプテーションとは、「男性キャラクターにのみ100%効果があり、それをうけるとロックブーケの味方になって仲間を攻撃しはじめる」という強烈な技です。男であるかぎり誰もロックブーケ様の魅力にはあらがえない。どんな皇帝だろうとメロメロになってしまうということを表した恐ろしい戦闘方法です。対策方法は2つあり、ひとつは女性キャラクターだけで5人パーティーを組むこと。そしてもうひとつは「霧隠れ」という水術をつかって「こちらから攻撃しないかぎり敵からのほとんどの攻撃・効果を無効化できる」状態で、テンプテーションを見切るまでじっとしているかどうか、そのどちらかです。

で、その知識を得た上でロックブーケの戦闘シーンを思いだしてみてください。一度でも胸キュンしなかったと言えますか?ちょっぴりでも可愛いと思ってしまっていませんか?そんなことないですよね?めっちゃ可愛かったですし、悶絶級でしたし、メロメロでしたよね。そう。で、あるならば!!!! 気をつけてください!!!!

テンプテーションにかかってる可能性があります!!!!!!!

見る者を魅了し、問答無用で恋の奴隷にしてしまう強烈な必殺技テンプテーション。ロックブーケがそれを発動したとき、可愛いと思ったら。美しいと思ったら。チャーミングだと思ってしまったら。それはもう、テンプテーションにまんまとかかっています。あれを避けるのは正直無理ゲーだったと思います。年末恒例の笑ってはいけない24時を、本当に笑わないで見続ける縛りみたいなものです。あのロックブーケにときめいたら、デデーン♪ ダークスフィア~(タイキック~みたいなノリで)。可愛いと思ったら即敗北。無理無理。だって可愛すぎるもん。めちゃ可愛い。

キャスティング有能

ていうか、ガチの元アイドル連れてきたらダメだって。そりゃ可愛いよ。山田菜々さん。あんなの凶器だって。キャスティング優秀すぎかよ。

www.youtube.com


なにしろ暴力的な可愛さ。だからテンプテーションの驚異を知っているロマサガ原作勢からすると、ときめいたらゲームオーバーだって知ってるからね、もう超怖い。可愛いのに怖い。可愛ければ可愛いほど、ふるえあがる気持ちなんです。

「ホラー」からの、全滅必至「召雷」連発凶悪ロックブーケ様の恐ろしさがまざまざとよみがえってきて、もうね、脳が混乱するんです。可愛さと恐怖がすさまじい勢いで神経をおかす、ヤバイ性質の気持ちよさ。

ゲームのなかの絵空事だったテンプテーションが!

サガステという舞台の上で山田菜々さんという身体を得て発動し!

客席に座る皇帝という皇帝たち皆に、マジのテンプテーションをしかけてきたとしか思えない。

あのテンプテーションは、舞台を越えて、客席全体にあまねく広がり、ついには性別さえ越えて魅了しまくった猛烈な真テンプテーションだったと思う今日この頃です。

あ~~~~、もう一回観たいなぁ。

次観るなら、もう抵抗をやめてさ。

はじめから奴隷になるつもりで心をゆだねるよ。

ロックブーケ様、万歳!

サガステ、万歳!

というわけで、サガステ最高でしたし、

ロックブーケ、超最高でした。

サガステ感想。帝暦2018年、ダンターグはとんでもない巨獣を吸収した!の話

今日はサガステのダンターグについて書きます。

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私はダンターグが大好きです。七英雄のなかでも特に。一番。ラブ。

思い出の中のダンターグ

小学生のころ、休み時間にダンターグの落書きをいっぱいしてました。七英雄最多の4段変形をする彼は、デザインコンセプト的に落書きにぴったり。見たことないモンスターを次々に吸収させて、自分だけの第5形態、第6形態、第13形態くらいまで進化させる妄想をしてました。狂ったダンターグがやがて仲間の七英雄まで吸収して、HPが200万くらいある設定になるんです。ロックブーケを吸収するところを想像したら、なんか子供心に「いけないこと考えてる感」がわきおこってきて、えらいドキドキしたものです。(そのページはお母さんに見つからないように捨てました)

話がそれました。

ダンターグと戦闘するのも好きです。あの大きな身体でステゴロしかけてくる野蛮なかんじ。ラスボス級のキャラなのにノーマルダンジョンをうろうろ歩きまわってる掟破りな登場の仕方。4段階いつどのタイミングで遭遇してもハラハラさせられる強さ。こちらの全身全霊、フルパワーの攻撃を堂々と受け止めて弾き返す、あのスタミナオバケ。

しかもしかも、原作だとバカなんです。愛すべき戦闘バカ。強さをストイックに追求する暴の美学の体現者。

かと思いきや。

七番目の七英雄に残しておくと最終決戦のときに自分が「ワグナスと比べて強いのかどうか」なんてことを気にしちゃう繊細ぶりがチラ見えする。小学生か。なにがなんでもクラスで一番じゃないと気がすまない小学生男子か。バカで強い。バカ強い。ゆえに、怖い。序盤のナゼールで準備不足なのに遭遇しちゃうと思わず声がでるくらい怖い。だから忘れられないし、いまでも私的七英雄ランキングはダンターグが最ラブです。

で、そんなダンターグラブの私。

が、サガステダンターグを観てどう思ったか。

そりゃもう、



最&高!




なにが素晴らしいって、大好きな大好きなダンターグを、こんなにも男前に描いてくれたことがたまらなくうれしかったんです。

ダンターグの中にあった「憎めない乱暴者」というイメージを否定することなく、それにちょっぴり「思いやりをもった兄貴肌」な芝居をつけくわえるだけで、ああも魅力的なキャラクターに進化させてみせたのはただただ見事としか言いようがありません。

クジンシーと共闘するときの立ち回りは、まさしくアニキでしたよね。いたずらに力を誇示するでなく、さりげない動作のなかでさもあたりまえのように仲間を守る。それも、わざわざ守ってやるというより、暴力は自分が引き受けて当然!といわんばかりの身のこなし。それがはたしてクジンシーへの仲間意識なのか、はたまた荒事を楽しむついでに結果として助けちゃってるだけなのかは受け手の解釈によりますが、どちらにしても頼りがいのある男の背中には嘘がありません。

そうした前提をふまえて迎える二幕。彼への眼差しは、自然と変化してしまいます。もうただの筋肉バカにはどうしたって見えません。



彼こそは、重み。



舞台の上。客席のすべて。ながれる時間のことごとくにどっしりとした重厚感をあたえてくれる、サガステの重力として無二の存在感を放っていました。

ダンターグがあらわれるだけで安心する。

ダンターグが戦う姿をいつまでも見たい。

ダンターグがいれば。

ダンターグがいてくれれば。

ダンターグ、ダンターグ、負けないで!

ボスキャラを応援したくなっちゃうのがサガステの作り手が目指す狙いのひとつだとしたら、私は元来の推し英雄ダンターグでまんまとその狙いにどハマリした格好です。いやはや。

それにしても、あの頃大好きだったダンターグがまさかこんな見事な進化を重ねるとは。いや、彼の理念にしたがうなら強化というべきでしょうか。

ダンターグはサガステでさらに強くなりました。

全4形態を誇る暴力の化身は、2018年までの年代ジャンプ経過によってますます手がつけられないほど強化したんです。

さながら、幻の第5形態。

サガステという偉大な巨獣を吸収して。

サガステは私の『ボクオーン』のイメージを裏返していった

サガステ東京公演千秋楽、無事終わりましたね。

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私は2.5次元観劇は今回がはじめてだったのですが、本当に本当に素晴らしい体験でした。何日も経過してもまだサガステのことばかり考えてしまいます。これほどまでに一つの経験が自分に影響をおよぼすことがあろうなんて、まったくもって予想外でした。いまはただその余韻に酔いながら好きなことを書いていきたいと思います。

さて、今回書いていきたいのは、サガステのボクオーンについてです。

サガステ2最大級の発明は、ボクオーンの評価を裏返したことだと思います。

私にとって原作ボクオーンは、戦闘力でみたらおそらく七英雄最弱で、クジンシーをのぞくとプレイヤーが最初に撃破することになる雑魚ボスというイメージでした。しかも卑怯でずる賢く、卑屈で浅はか。ロマサガ2を深く愛している私でも、ボクオーンとは、七英雄を好きな順にならべていくと七番目になっちゃうような魅力のうすいポジションという印象だったことを白状します。

ところが。

ところが!

サガステは、そんな私の印象をいい意味で粉々に粉砕してくれたのです。

ボクオーン、めっちゃ好きになれた!!!!!!!!
うれしい!


サガステが私に提示してみせたいくつもの「新解釈」のなかでも、トップクラスに印象深く、目からうろこが落ちる思いで、ますますロマサガを好きになれるきっかけとなったのがボクオーンの描き方です。

もうね、ぜんぜんちがう。
俺の知ってるボクオーン、こんなかっこよくなかった。



からの、



ありがとうございます!!!
ありがとうございます!!!
ありがとう!
ございます!!!!!!!!

こんなにも美しく、はかなく、やさしく、それでいて震えるほどに恐ろしい「悪の天才」として新たな姿をあたえてくださって、本当に本当にごちそうさまでした。

道化師との関係性のエモさ。彼の衣装のカラーリングだけで、原作派としてはまずハッとさせられました。

そして二幕。短命人の末裔たる現代人を地上戦艦で苦役に科していても、わざわざ薬漬けにしてからでないと「あやつれない」優しさが泣けます。冷酷になりきれない頭脳派の悲哀が読み取れました。

ただひとり自ら望んで「命令してほしい」と告げた少年との記憶が皇帝迎撃戦での本気モードへの覚醒をうながすのとか、びりびり痺れましたね。

忘れてはならないのが、キャスティングの奇跡。川田祐さんというその道の「世界チャンピオン」だから実現した戦闘方法。かっこよさはもちろん、そのスキルとしての説得力に感動しました。武器になることに、嘘くささがないのが素晴らしい。

川田祐さんプロフィール
http://www.pro-fit.co.jp/talent_kawada.html

そうか「動くな!」とは、これだったのか!

「マリオネット」とはこういう技だったのか!

それは魔法ではなく、技術。

剣も槍も体術も、現実世界でありうる方法。でも動くな!もマリオネットも、ファンタジーな現象じゃん。って思ってた私に、いやいやちがうよ、ボクオーンの戦いってのは、こういう見せ方をすればきちんと物理的な現象だし、超かっけぇんだぜ!と教えてくれた気がしたのです。

それはつまるところ、七英雄が魔術的な非現実の存在ではなく、あくまでもひとりの人間であることを忘れないでほしいというメッセージなのかなと思いました。

魔法の杖のかわりに「○ー○ー」を武器につかう。この奇想。天才的発明。舞台でたしかに繰り広げられている。超常現象じゃない。魔法じゃない。技術だ。世界最高、それも魔法にしか見えないレベルの、絶技だ。

さらにさらにさらに。

この武器のおかげで、原作のボクオーンが両手を地面にむけている姿と完全一致するんですよね!

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いままで見えていなかったものが、クリアに見えてくる。新たなる視点。新たなるかっこよさ。私はサガステに行って、新しいものの見方に出会えました。

サガステは大変面白かったです。大阪公演にゆかれる方は、ぜひボクオーンにもご注目ください。

サガステ復習編・サガステ2回目を観る人に伝えたいロマサガ2の細かいネタ

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おつかれさまです、サガステ最高でしたね。

サガステ、最高。語彙なんかそれだけで生きていけます。

ただ、ちょっと語らせてください。最高すぎて気持ちの整理がつかないので。

 

特に今回は、佐藤アツヒロさんに惹かれてロマサガ2の舞台を楽しんでくださった、役者ファンからロマサガ界におこしの素晴らしき皇帝陛下に捧げる記事を書きます。ゲームはやったことないけど、七英雄が生きる世界に興味がわいた、という方にむけての記事です。ゲームを何周もやりこんだやつだと、なるほどそういうふうにサガステが見えるのか~、ということをお伝えしたくて書いています。

 

っていうか、サガステ最高すぎるのでたぶん周回鑑賞する方ふつーにいると思います。一回みたけど、原作未プレイなためにちょっとわからなかったぞ?みたいな方を救うために、もう一回いくまえに復習・補習をさせてくださいませ。

 

ついでにいうと、ネタバレなしの基礎知識編はこっちです。

undertalenetabare.hatenablog.com

 

生命力=LPとはなにか?伝承法は、ゲームではどのような扱われ方をしているのか、みたいなロマサガ2にとっての「知っていて当たり前」はまずこちらをお読みください。

 

 

なお、狙いの性質上、ネタバレ全開でいきますので、どうかどうか、舞台を見終わった方だけお読みください。

 

サガステ復習編。細かすぎて伝わらない観劇後の補足解説!!

5人いればインペリアルクロスが使えるのに!の意味 

二幕。ジェラールの代になって、ヘクターが仲間に加入するまでの時期でのこと。ここは原作勢が「うんうんうんうんうん!!!!!」て首がもげそうなくらいうなずくところです。ここは未プレイだとわかりづらいので解説します。

 

レオン皇帝がクジンシーに挑む理由は、「一撃でLPを0にされてしまう必殺技をわざと自分の体でうけて、死ぬ代わりにジェラールに『見切り』を会得させるため」というのは舞台上でも読み取れたと思います。

 

で、とにかくレオンは死にます。すると、レオンをふくめた5人パーティーでインペリアルクロスという陣形を組んでいたのに、それが成立しなくなるわけです。

 

で、で、そうなると今度はジェラールが主人公キャラになった4人パーティーの編成になります。4人だと、陣形が組めません。なので、あと一人必要なのです。

 

で、で、で。この時、原作では折悪しくもレオン崩御の直後に帝都の市民居住区にモンスターが攻め込んでくるという事件が発生します。4人しかいません。陣形くめません。ジェラール(=プレイヤー)はここで決断をせまられます。このまま4人で街を守るか。あるいは宮殿から誰でもいいから一人仲間にいれて陣形を組める人数にしてから対抗するか。フリーシナリオシステムなのでどっちでもいい。どうする?

 

で、で、で、で! このときのヘクターくんに注目。めっちゃ強いキャラなんですけど、なんとなんと「俺はレオン陛下に雇われていた。ジェラール様に忠誠をちかう義理はないね」と仲間になってくれない奴なのです。

 

ところが、晴れてモンスターを退けることに成功するとジェラールの実力を認め、以降は仲間キャラとしてスカウトが可能になる、というイベントがありまして。つまり、なんとか無理して4人で迎撃成功すれば、その直後にヘクターという頼もしい味方がゲットできるという寸法です。遠いけど安全な道か、近いけど険しい道か、みたいな。

 

だからヘクターを加入するかしないかというタイミングのすこし前に、「あと一人いればインペリアルクロスが組めるのに」というセリフにニヤリとするわけですね。あ~、あのイベントのことを再現しようとしてるんだなぁ、と。

 

 

ジェラールと宮廷魔道士エメラルドがファイアーボールを一緒に使う意味

こちらも二幕から。ボクオーン戦だったと思いますが、ジェラールが「ファイアーボール」という呪文を使うところがありますね。で、そのときにパーティーメンバーのエメラルドちゃんもハモって「ファイアーボール!」ってやるじゃないですか。あれにはきちんと感動できる話があるんです。

 

ジェラールというのは、それはそれは非力な第二太子で、剣術が苦手でした。そんな彼に、戦闘に役立つ攻撃手段として術を教えてくれるのが宮廷魔道士のエメラルドちゃんなのです。

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つまりエメラルドはジェラールの忠実なる臣下であると同時に、彼にはじめて戦う手段をあたえてくれた師匠でもあるんですね。その視点でみるなら、ファイアーボールとはエメラルドの得意な術であることだけにとどまらず、皇帝と魔術師のきずなをあらわすエモーショナルな術だともいえます。それをここぞという必殺のタイミングで、ふたりが声をかさねて唱え放つ。つくづく、よく考えられた台本だと感心します。

 

ソウジはなぜ病弱キャラなのか?

これは原作プレイ済みだとめちゃめちゃ笑えます。もうソウジ出てきただけで笑えます。どういうことかというと、それはロマサガ2のLPというシステムに自己言及するノリツッコミ系のギャグだからです。

こちらをご覧ください。

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彼はゲーム終盤で加入可能になる「イーストガード」という和風剣士のなかの一人で、200人以上いる皇帝候補のなかでもトップクラスのネタキャラとして有名です。

どこに注目してほしいかというと、「LP1」というところ。このゲームにおいてLPは0となった時点でキャラが消滅してしまうというルールがあるにもかかわらず、まさかの1!ソウジ、すぐ死ぬ!瀕死、瀕死!加入時点でもう消えそう。儚さ、ぶっちぎりのNo.1。そんなやつ、彼以外いません。

そのくせ、LP以外のパラメータはめええええええっちゃめちゃ優秀で、数値外の隠しパラメータもふくめて超高性能なキャラクターなのです。だからみんな記憶に刻まれています。キャラがたちすぎなんです。

なので、ソウジを使ったことがあるプレイヤーは、サガステの舞台を二重の意味でハラハラしながら見守っていました。ノエルに攻撃されて。スービエに刺されて。ワグナスに必殺技かまされて。そのたびに、ちょ、ま、LPなくなるーーーーーーーーー!!!!!!!と、心臓にめっちゃ悪いドキドキをあじわっていたのです(笑)

 

あと余談ですがコッペリアはLP99です。分けてあげて!

火山の噴火を無視してよかったのか

結論からいうと、良いんです。というか、演劇上の非常にすぐれた意図があってああいうシーンになっていたと思います。

 

二幕、ケルートというサラマンダー族が「コムルーン火山の噴火をこのハンマーでとめておくれよ」みたいな話があるじゃないですか。ところが、そのときの皇帝はケルートがぜんぶ言い終わらないうちに、「ミラマーの橋が海の主に壊されたイベント」のほうに方向転換してしまいましたよね。

一見ギャグシーンにみえるここですが、じつは、これはロマサガロマサガらしさをこれ以上なく見事に表現した、ものすご~~~く素晴らしい一幕だったのです。わかりづらいと思うので解説します。

どういうことかというと。プレイヤーは、ストーリー上で何度もサラマンダー族がいるコムルーン島をおとずれます。で、ゲームの進行状況によっては、舞台とおなじように「コムルーン火山の噴火をとめる協力をしてほしい」と言われるんです。これをそのとおりに舞台で再現するのだと、いかにもふつーーな、学芸会のノリになっちゃいます。

ところが、サガステはちがう。コムルーン火山の噴火の話を無視して、ミラマー編に場面が移ります。なぜなら、ゲームでもまさに同じことができるからです。

ロマサガは、フリーシナリオシステムというものを採用しています。これは、プレイヤーの選択によって、プラグラム上のどのイベントに着手してもよい、という斬新な仕組みです。その自由さは、とんでもなく超自由です。順番を選べるだけじゃなくて、放ったらかしにすることさえ選択肢にはいってきます。だから一度着手しはじめたイベントだって、やっぱや~めた、と放置が可能です。ケルートに遭遇する。依頼されてイベントが進行しはじめる。だが放置!それは、ゲームシステム上、まったく問題ない行為なのです。あのシーンは、この仕組みのことを端的に表現していた粋な演出なんですね。

 

コムルーン火山はあえて噴火させる道もある

さらにさらに、なぜその演出をコムルーン火山編でみせたのか。これにもきちんと意味があります。このゲームは攻略の手順はどういう道を選んだとしても、おおむねすべてのイベントを味わうことができるようになっています。ところが、いくつかの例外があって、一周のゲーム攻略のなかではどうしても両方はあじわうことができない「取り返しのつかない二者択一」の部分があります。

それがコムルーン火山編なのです。コムルーン火山は、進み始めたイベントをあえて無視してほかのイベントをすすめるという条件を満たしたとき、なんとなんと、火山が大噴火して島まるごと消えてなくなってしまうというショッキングな結果に発展します。したがってサラマンダー族は絶滅、世界地図からも一箇所完全に消えてしまいます。

ところが!ところが!海に沈んだコムルーン島のかわりに、古代の失われた秘術を隠すダンジョンが浮かび上がってくるのです。それを見事制覇すると、この方法でしか手にすることができない「第6の隠し術シリーズ」を習得することが可能になる、というなんともえげつない選択肢。

これぞフリーシナリオシステムの真骨頂にして、プレイヤーが積極的に「あえて無視して別イベントを進めたくなる」という魔性のイベントなのですね。禁断の冥術のために、サラマンダー族を見殺しにして都合よくすすむか、サラマンダー族という世界最強の斧使いを生きながらえさせるために冥術を諦めて火山の噴火を止めにいくか。

プレイヤーなら一度は経験したあの「わざと無視するイベント」が、ケルートいじりというコミカルなシーンのなかにぎゅぎゅっと凝縮して表現されていた、というお話です。

 

セキシュウサイ

セキシュウサイとは誰か? これは、舞台では前後の文脈からどうにか推測するしかなかった、もっとも原作未プレイ派が謎におもうポイントだと思います。

 

セキシュウサイのことはこの記事もご覧ください。

undertalenetabare.hatenablog.com

 

セキシュウサイは、ワグナスが拠点とするヤウダ地方の登場人物です。

ヤウダは日本風の世界なのですが、ここの王さまは、いっときの平和のためワグナスの手下になってしまうという愚かな選択をとりました。自分の保身のために国まるごと魔物のリーダーに売り渡しちゃったんですね。

で、セキシュウサイとは、その王さまに仕える武人です。ワグナスをして皇帝以外に唯一警戒心をいだかせた人間最強のキャラクターで、彼は仲間には加入しないタイプの存在です。

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彼は武人であり、侍です。侍は臣下として主に忠誠を誓います。それはたとえ愚王であっても。なので、王はワグナスにつき、その臣下であるセキシュウサイも、皇帝と対立する立場をとらざるをえなかった、という悲しきおじいちゃんでした。

おたがい戦うべきではないとわかっていながら、しかし七英雄打倒の道のりのなか、決して避けてはとおれぬ衝突です。皇帝は彼と一騎打ちの戦いをします。このときだけは5人のパーティーは解散し、皇帝ひとりきり。一対一。

で、まあ、ゲーム終盤まで鍛えている皇帝だからまず負けないんですね。対策を怠っているとボコボコに負ける可能性もありますが、基本的にはセキシュウサイは皇帝の一撃で沈みます。志に殉じて、高潔なる死を選ぶのです。

その後、セキシュウサイの遺志をついで皇帝に協力を願い出るのが先述のイーストガードというわけです。初代ジュウベイから7代あとの8番目イーストガード=Mr.瀕死・ソウジくんです。そんなソウジだからこそ、熱いセリフに重い意味がこめられてるんですね。

「たった一つきりの命。燃やし方なら心得ている!」

いわば、セキシュウサイの無念もオーバーラップしている魂の叫び。LP1だから「たったひとつの命」というダブルミーニングにもなっていて、熱く、クスっとして、でも泣ける。これが感動なんですね。

 

七英雄しつこい件

七英雄の血の誓い。あれはガチです。原作にもあります。

超強い七英雄を順番に倒していって、最後の1人になると世界地図でいう南のはてにあるダンジョンが入れるようになって、そこで待ち構えている最後の1人と戦います。

フリーシナリオシステムなので、7人をどういう順番で倒してもいいため、ラストダンジョンで戦う最後の1人もプレイヤーによってまちまちです。私は七人いずれのパターンでの最終戦も経験しています。

ただ、クジンシーだけはちょっと工夫が必要です。なぜならジェラールの時代に決着がついています。さいしょに彼とドンパチやったから皇帝と七英雄の因縁の歴史ははじまったんですものね。そんな最初に死んだはずのクジンシーさえ、フリーシナリオシステムの自由さを工夫しまくれば、なんと最後の1人に残すことも可能です。

で、7人目を見事やっつけると、「ここから先はセーブできない」状態になって、七英雄の本体との最終最後の決着戦がはじまります。

まあこれがこれがめっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっちゃめちゃ強い! 強すぎるラスボス歴代ランキングとか作ったらだぶん余裕でノミネートされる七英雄

なにしろ、こっちの体力の上限が999なのに、四桁ダメージたたきだしてくるし。七人だから7回攻撃してくるし。七人分の体力あるし。クジンシーがさいしょに使ってきた「くらったら一撃でLP0になる技」をラスボスのくせに使ってくるし。ロックブーケが使ってきた「男性キャラクターを問答無用で七英雄側に寝返らせる技」も使ってくるし。火力、戦術、耐久力、なにもかもが、ここまでに戦ってきたすべての敵より数段格上という半端ない強さ。

 しかもしかも、そんな七英雄は戦闘中にさらに覚醒して、「アストラルゲート」→「アビスゲート」という大技を放ってきます。これはサガステでもめちゃめちゃかっこいい演出で再現されてましたね。攻撃をくらった側(=舞台だとソウジ)の動きも、ゲームのとおりの動きだったことをご報告します。

 

 

私が語りたかったことは以上です。

ネタバレ全開、超全開で大変失礼しました。どうか、より良き周回サガステタイムをお楽しみください。

 

 

ツッコミどころとか、あれが知りたい、ここはなんだったのか?みたいな謎があれば、

 

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サガステ予習編・ゲーム未プレイの方でもサガステが100倍楽しくなるロマサガ2の基礎知識まとめ

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サガステ最高! サガステ最高! サガステ最高!

 

ロマサガ2舞台「サガステ」を見てきた感動と興奮さめやらぬ昨今でございます。

 

レビュー記事はこちら↓

 

 

見終わったあとにエゴサしまくって気がついたのですが、ゲーム未プレイのサガステファンという層が意外にかなりいるみたいだな、と思いまして。特に主演・演出の佐藤アツヒロさん(ノエル役)のファンが情熱をもってロマサガ2に流入してきてくださっている印象をうけました。

 

そこで、主に役者さんファンからサガステに興味をもったという鑑賞者、鑑賞予定者のためのロマサガ2ガイドなんかあったら面白いかもしれないと考え、ロマサガ2ファンとしてまとめてみようと思った次第です。

 

コンセプトとしては

ロマサガ2未プレイの方で

・劇もこれから観るという方でも安心=舞台のネタバレなし

・知っていればも~~~っとサガステが楽しくなる知識

を書いていきます。

 

これを読めば原作勢と近い感覚で面白みを理解できるようになることでしょう。ちょっぴりマニアックだけど、観劇直前にさらっと読んでおけば安心?の予習編ということで、さっそくはじめます。

 

サガステ鑑賞前に知っておきたい「ロマサガ2

そもそもロマサガ2って?

ロマサガ2はスクウェア(現・スクウェアエニックス。当時はまだエニックスと合併する前でした)から発売されたスーパーファミコン用のテレビゲームです。正式名称は「ロマンシング サ・ガ2」と言いまして、奥深い世界観と歯ごたえのある高難易度なゲーム設定が特徴的な作品でした。

 

ストーリーは、「伝承法」という秘術をあやつる皇帝を主人公に、世界全土を帝国の領土としていくまでを描く物語です。ある時はその国の為政者を説き伏せ、またあるときは武力によって制圧し、その土地それぞれに多様な解決策のなかから自分好みの道を選びながら、帝国の領土を広く広くしていく、そういう楽しみを味わうゲームです。

 

七英雄=当時の小中学生を震え上がらせた悪のカリスマたち

そして、その行く先々で主人公のまえに立ちふさがるのがサガステにおける主役・七英雄たちです。要するに、ゲームでは七英雄はボスキャラという立場なわけですね。

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ところがロマサガ2のファンはボスが舞台版の主役であることになんら疑問をいだきません。むしろそういう配役にした判断を歓迎する人しかいないでしょう。それくらいプレイヤーはみんな七英雄が大大大大大大好きなのです。当時このゲームをリアルタイムで遊んでいた子供たちは、みな七英雄に心の底から怯え、その恐怖の深さとおなじくらい憧れたものです。なにしろかっこいい。ビジュアルはもちろん、戦闘方法や、ミステリアスな目的もなにもかも、最高にいかしたボスキャラたち。いうまでもなく、めちゃめちゃ強い。なまはんかなレベルの上げ方ではまったく太刀打ちできないくらい強く設定されているボスでした。それが世界各地に7体もいる!それはそれはワクワクしたものです。恐れながらも魅了されていた、まさに悪のカリスマでした。

 

 

 

どこから攻略してもいいゲームシナリオ

ロマサガを語るうえでどうしても欠かせないことがあります。それはサガシリーズに連綿とながれる「フリーシナリオシステム」というゲーム上の特徴のことです。

その名のとおり、このゲームのシナリオはフリーです。行動に制限がほぼかからないという意味での、自由なゲームでした。こちらを御覧ください。

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これはゲームの世界地図です。

ごく序盤こそ攻略順序に決まりはあるものの、この広いマップのうち、どこをどういう順番で進んでいくか、いつでも、どこでも、どういう進行状況でも、好きに決めることができます。左下の地域を制圧したら、なんとなく気分でどまんなかの砂漠に遊びにいってもいい。各地の七英雄のうち、だれから倒しにいくかを決めるのも自分次第です。

 

ドラゴンクエストファイナルファンタジーのように、ゲーム開発者がプログラムしたとおりの順番にしたがってイベントを攻略していく形式のゲームが主流の世の中で、ロマサガはイベント攻略の順序をプレイヤーに丸投げすることで、スリリングな「自分で冒険している感」を味わわせてくれました。

 

 

主人公は200人以上いる

ロマサガ2のもうひとつの特徴は、主役が一人じゃないということです。このゲームはキャラクターごとの体力とは別に生命力という寿命なような数値が設定されています。ゲーム上では「LP」と表される数字です。これが冒険中に0になると、そのキャラクターは死にます。復活の魔法とか、そういうのはありません。本当に消えてなくなってしまいます。どんなに鍛えた仲間でも、LPが尽きたらさようなら。基本的にはもうそのキャラには会えません。

で、なんと。この0になったら死ぬという仕組みは、主人公も例外ではないのです。国を背負ってたつ皇帝も、七英雄との熾烈な戦いのなかでLPが0になることもあるでしょう。そこでゲームオーバーにならないのが、このゲームの面白いところです。主人公は死にます。しかし、その魂は不滅です。どういうことかというと、皇帝が死んだときに一緒に冒険していたメンバーのなかから一人を選んで、次の皇帝に指名することができる、という世代交代システムが採用されています。

このとき、死んだ皇帝にそなわっていた能力や技術、つまりその戦闘力の差は、そっくりそのまま次の皇帝に継ぎ足しされます。まるで老舗うなぎ屋の秘伝のタレのようなゲームシステムです。(これが先述の「伝承法」というやつです)

したがって、主人公キャラクターにかぎってはたとえ死んでもそこまでの修行は無駄にならない、ということです。この仕組みをうまく使って、何百年単位の歴史をこえて、何世代も戦闘力を加算しつづけ、最強にして最高の「最終皇帝」を鍛え上げて七英雄に挑んでいく、というのが戦闘面でみたこのゲームの目的になります。

 

 

陣形に注目すると楽しい

今回のサガステは、豊富でダイナミックな殺陣が見どころのひとつと言われています。で、この殺陣。なんとワグナス役の役者さん=中村誠治郎さんが振り付け指導をご担当なさっておられるとか。しかもしかも、その中村誠治郎さん。BSフジで放送していた特別番組によれば、ロマサガ2を9回全クリしているほど熱烈なファンだそうです。そんなロマサガヲタな中村誠治郎さんが殺陣のインストラクターをしていることもあって、原作における大切なバトル要素もサガステでは見事に表現されています。

それは、陣形です。

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ロマサガ2は、基本的に5人でパーティーを編成して戦闘にのぞみます。皇帝がかならず1人必要で、あとの4人は帝国の領土どこからでもスカウトすることができます。帝国宮殿にいる精鋭近衛兵から選んでもいいし、世界の果てに住まうトカゲ人間族を4人のうちの1人として採用することも自由です。そうして集めた5人のフォーメーションを使い分けることで、戦闘を有利にすすめることができます。

ゲーム中にはたくさんの陣形があるのですが、サガステではそのなかなら3つが具体的に再現されていたことを確認しました。もしかしたら私が見落としているだけで、ほかにもあったかもしれません。

 

サガシリーズの代名詞「閃き(ひらめき)」システム

※2018/10/9追記

twitterで質問が寄せられまして、原作未見派の方が疑問におもったポイントがあることに気がつきましたので大切な追記をいたします。

 

 

 

そう!

忘れてた!

 

ロマサガ2から導入されて、のちのサガシリーズに受け継がれていくあのシリーズ代名詞的なギミックの解説を!!!

 

それは。

「閃き」

です。

 

ロマサガ2は戦闘中に新技を「閃く」ことで新しい技が使えるようになるという仕組みがあります。その時、ピコーン!という気持ちいい音と一緒に頭の上に電球が光ります。で、これはロマサガのお約束でもあるので、サガステでももちろん再現されます。ご安心ください。

「頭の上で電球が光る」なんてことを舞台で表現するために、いったいどのような手法が使われるのか?

前回公演(ロマサガ3編のサガステ)でも同じ手法がとられたようなので、知っている人は知っているかもしれませんが、サガステ2で初見の方はここも見所のひとつですのでぜひ楽しみにしていてください。

 

 

 

 

ほかにもいろいろ語りたいことはあるのですが、サガステを観る前の最低限の予習としてはこのあたりで十分かと思います。

 

それでは、素敵なサガステ・タイムをご堪能ください!

 

 ◆◆◆◆◆◆◆追記ここまで◆◆◆◆◆◆

 

 

続きの記事を書きました! 原作派によるサガステ見所解説です。

undertalenetabare.hatenablog.com

ネタバレ全開の観劇レビュー&知ってから鑑賞するとさらに理解が深まるロマサガ2の設定についてを解説しています。サガステを周回鑑賞する方や、1回観たけど部分的にわからないところがあった方へむけての記事です。

 ※大阪公演での初見を楽しみにしている方はまだ読まないでください。

 

 

サガステ【ロマサガ2舞台】感想。水鳥剣の軌跡が見えるぞ!

観てまいりました!
楽しんでまいりました!
サガステ!
 

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SaGa THE STAGE七英雄帰還
 
私が行ったのは東京公演10月3日の昼の部で、この日はなんとサガシリーズの生みの親こと河津神がおられました。会場入り口でお客さんがたくさん入ってくる様子を見ている神……を、遠くから見ている私。ちらほら神に気がついている来場者。でも誰も声をかけない。えー、まじか。あれ神だよね。うっそ、あホントだ。すげえ。神だ。そんな開場5分前。もうね、なんか始まる前からワクワクドキドキがとまらないぜ、という観劇体験でした。
 
 
ちなみに私は好きなスーファミソフトをあげるときは真っ先にロマサガ2!と叫ぶタイプの人間です。小学生当時、SFC版を何周も何周もして、社会人になってからもWiiのバチャコン版で周回し、VITAのリマスター版もトロフィーコンプするまでやりつくしたくらい、ロマサガ2が好きで好きでたまらない系の皇帝です。
 
演劇ファン側からのサガステ民ではないため、役者さんのことはノー知識でした。サガステの感想ツイを拾ってると逆にゲーム未見で来られている役者さんファンも少なくないようでサガのファン層拡大を嬉しく思います。
 

見所その1。この殺陣を見よ! アクション満載、躍動感ほとばしる舞台。

見所はなんといっても「殺陣」!
数えてないから正確な数はわかりませんが、もうね、これでもか!ってくらい戦闘シーン、戦闘シーン、戦闘シーン!だよ。だって原作ゲームがバトルだもんね。戦い続ける者たちの時を超えた伝説。原作の魅力のひとつ「プレイしてて楽しいバトル」の雰囲気をとても丁寧に舞台上で再現していました。
 
※観劇後にしらべてびっくりしたんだけど、あの殺陣ってワグナス役の役者さんが指導者なのね!?ま?
 
殺陣のなにがすごいって、たとえば「陣形」ね。ロマサガ2には5人のメンバーで陣形を組んで戦闘にのぞむというシステムがありますが、それをきちんと表現していたのがすごいんです。インペリアルクロス。ラピッドストリーム。龍神。プレイヤーならおなじみの陣形たち。何度も頼りにしてきたあの陣形の数々が、自然に(そう、自然に!)、戦闘の経過との必然性をもって変化・展開されていきます。それがことごとくかっこいいんです。龍神って実際に攻撃につかうと、そうかそんなに流れるような連撃になるのか!としびれました。――連撃、いきます!
 
それから「技」。これも原作リスペクトにあふれてて超かっこいい! 流し斬りね、流し斬り! 剣の軌跡っていうのかな、見えるの!見える。ゲーム画面でみたとおりの剣の動きが見える。水鳥剣なら縦方向に斬りおろす。二段斬りは斜めに二回ふり払う。そういう細かいところにまで及ぶ原作愛が、見ていてジーンときました。
 
もちろん、すべての役者さんの身のこなしのお見事さといったら!すごいですよ、ほんとに。すごすぎた。一対多の剣戟アクションが何度もあるんだけど、剣を振り払う一手一手にきちんと意味が感じられる。あの剣は攻撃。あの剣は威嚇。あの剣はパリィ。あの剣は牽制。あの剣は致命傷を与える特大の一撃。そして流れるような動きのなかに、これまたきちんと意味のあるジャブや回し蹴りや掌底がちょこちょこ組み込まれていて、「ものすごい練習量の果てにきまりきった型でやってるはずなのに、どうみても命懸けで戦っているリアル感」がひしひしと伝わってくるんです。この殺陣を見よ!と自信満々で言われて観にいってもけっして損はしない。そういうアクションシーンがサガステの大きな大きな見所のひとつでした。
 

見所その2。原作ストーリーの掘り下げ方がすばらしい!

ロマサガ2にある、語られざる物語。それらがまったく新しい解釈のもとに、それでいて原作愛を1mmも傷つけることなく成り立っているのが見事です。
 
原作で最も謎めく存在オアイーブの内面に光を当てたことが、本作シナリオの特に優れたところだと思います。ミステリアスな彼女のベールをはがし、きちんと役割をもたせたことで、七英雄と歴代皇帝のどちらをも主人公として成立させてみせるという離れ業が披露されました。これがとにかく凄い。なにが凄いかというと、
 
両方を善として描くなんていう安易な方法に逃げていないのが凄い。
 
七英雄はきちんと醜くも美しい巨悪として。皇帝は決意を継承する弱者の味方として。相反する立場でありながら、さいごまで観終わると両者ともに「たしかにどちらも主人公だった!!」と感じられる。それはなぜか?
 
オアイーブの秘めた真意が、まるで魔法のように両者を「同化」させてしまうからです。
 
この説明だと何言ってるか分からないと思います。でも、ほんとにそうなんです。もし円盤でこの舞台を楽しまれる方は、シナリオの美しさにぜひ注目してみてください。
 

見所その3。ワグナス。

ここからはネタバレを含みます。
ネタバレがお嫌いな方は、どうか舞台鑑賞後にお読みください。
 
 
 ◆舞台をまだご覧になっていない方は、
こちらの「ネタバレなし・ロマサガ2解説予習編」をおすすめします◆


 
 
 
 
 
 
 
 
 
※※※※※以下ネタバレはじまります※※※※※※
 
 
 
 
 
 
 
 
 
私は、この舞台で泣きました。
 
泣けるポイントはいくつもあります。
 
原作愛があふれる演出はもちろん泣けます。
 
スービエの愛と憎悪に泣けます。
 
ノエルの背中の広さに泣けます。
 
一幕と二幕で「変化」したクジンシーの弱さの意味に泣けます。
 
ボクオーンの存在感の異質さに泣けます。
 
ダンターグの頼もしさに泣けます。
 
ロックブーケの戦闘演出はゾクゾクさせられて泣けます。
 
大好きなイトケンサウンドがビシビシ決まって泣けます。
 
ロマサガ2を愛している私の涙腺をぐっさぐさ刺激しまくる舞台で感動的でした。
 
 
そんな中でも特に特にすごく深く感動したのが二箇所あって。
その二箇所とも、ワグナスのシーンだったのです。
ワグナスが泣ける。
見所はワグナスでした。
 
 
 
 
 
※※※※※ここからさらに本編内容への具体的な言及があります※※※※※※
 
 
 
 
 
ひとつは、一幕のラスト。
 
長命人(古代人)に対する復讐を叫ぶワグナスの、魂がきしむような慟哭が胸にせまるんです。そこには決してうつっていないのに、ゲームをプレイしている皇帝なら皆ひとしく「ワグナス第二形態」の血の涙を流すあの姿を幻視したことでしょう。見える。見える……!あの憤怒。あの涙。あのサイコバインド。心がふるえて、私も泣いていたのです。
 

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↑ワグナス第二形態

 
そしてもうひとつ。
二幕の中盤。ヤウダを攻めるワグナスがセキシュウサイと戦うくだり。ここが泣けて泣けてしょうがないんです。いま思いだしても泣けてきます。原作にはワグナスとセキシュウサイが直接対決をする話はないのですが(あったっけ?ないよね?)、この追加要素はなくてならない素晴らしい付け足しだったと思います。
 
どうして泣けたのか。
ワグナスが相手取るは、現代人最強の達人セキシュウサイ。
数千年の旅の果てに人類をはるかに超越した力を得たいまのワグナスと、互角以上にわたりあう武の天才。そのひりつくような殺陣のなかでワグナスはこういった意味の言葉を漏らすのです。
 
「お前ほどの男を倒せば、あるいは人間性を取り戻せるやもしれぬ」
 
はええ……
 
 
 
 
 
かっけえええええええええええええええええええええええええ!!!!!!
 
なにそれ!?
 
え?
 
なにそれ、かっこよすぎだろ!!!!
 
復讐の悪鬼、モンスターと成り果てた七英雄リーダーが、命と命の殺り獲りのなかで一瞬だけ「人の心を取り戻したいと願う人間性」を見せるんです。
 
おまえ、墜ちてなかったんや!
 
おまえのなかにいる「男」は魔物になってなかったんや!
 
おまえは己を魔物と堕したとて、本質的には人間だったんや!!!!!
 
ワグナアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアス!!!!!!
 
だばああああああああああああああああああ(号泣)
 
 
 
 
はい、観ましょう。
決定です。
サガステ。
 
めちゃめちゃ面白いです。
 
感動です。
迷う必要はありません。
観ましょうね。
 
 
ぜひぜひ。
 
 
 ◆DVDでの初見を楽しみにしている方には、こちらの記事もおすすめです◆

サガステ予習編・ゲーム未プレイの方でもサガステが100倍楽しくなるロマサガ2の基礎知識まとめ - rooton3の雑記

 
 

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ずっと真夜中でいいのに。『脳裏上のクラッカー』うにぐり君と歌詞考察

www.youtube.com

 

ずっと真夜中でいいのに。さんの新曲が公開されていました。

 

たった1曲のみ、今年の6月にyoutubeに公開したMVがいきなり数百万PVをたたき出すという怪物級新人。誰?すごすぎない?すごすぎます。すごすぎる。惚れるよね。

 

デビュー曲はこっち↓

 

www.youtube.com

キャッチーでありながら、スルメ曲。しかもフレッシュ。才能がバグりすぎ。

 

余談ですけど、わらべ唄のひとつに「カッテコカッテコ」というのがあって、サビの部分のメロディがとても似てます。わらべ唄ってマイナーなので知っている人すくないとおもうけど、耳にしっくりとなじむどこか懐かしい曲なのは、ふるくから伝わるプリミティブなメロディを思い出させるからかもしれません。

 

とりあえず需要があるかどうか分からないけど、「繋ぎ止めてよ♪」のところのうにぐり君を置いておきますね。

 

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わずか7音のなかにうにぐり君は12カットあります。なめらかアニメーション!かわいい。

 

オマケ。歌詞の解釈

ずとまよ。さんの歌詞は情報量がすごい多いです。くわえてアニメーションも構成要素がめちゃくちゃ多くて考察厨がはかどりますね。

 

私は今回のPVを聞いて、見て、思ったことは「元カレの結婚式に出席しちゃった女子」の唄なんだと思いました。

 

たとえば

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これ、インスタの写真にも見えるけど、ポラロイド写真にも見えません?

結婚式二次会の受付でパシャって撮られるやつ、あれですあれ。

 

それから

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ほら。

これはウェディングケーキぽいよね。

空気よまずに死んだ目でドーナツ食べつつ全方位をかこんでいる主人公。

ケーキ入刀を360度から阻止しようとしている感。

二人の初めての共同作業?はあ、わたしを斬り殺してからやれよ、みたいな。

 

ついでに

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観覧車。

 

すなわち

 

観覧者。

 

だから。

見物人。

見世物を見に来ている他人の気分。

元カレの結婚式に参加する立場なんて、当事者じゃないから見物人。

気持ちが遠いから、構図としても距離がある。

 

隣にいなくてもいいよ。いいの?いいよ。

 

きみはぼくの隣にいなくてもいいから。会場のどこかで祝っていてくれよ。

え、そんな。いいの?私なんか呼んじゃっていいの?(苦笑い)

いいよ。

 

 

 

 

はああああああああああああああああああああああああああああああ?

なんで?

いいよじゃねえだろボケ!

いまさら優しいふりしてんじゃねえええええええええええええええ!

 

 

でもきっと二人の別れは主人公側から切り出したものだったんだろうね。

そのくせ未練がある。

元カレにもじゃっかんまだ主人公を好いてるケがある。

それは主人公の誤解かもしれない。

けどそう信じたい。

けどできない。

ほんとは隣にいたのは私だったのかな?

いや、ないか。

諦めよ。

あ、むりだ。

しょうがないから割り切れないけどどしゃぶりの涙でひっそり帰るわじゃあね。

 

的なね。

いい唄だなぁ。

 

これからもずとまよ。を応援します。

 

ではでは。